まだ授乳が必要なくらい小さな赤ちゃん猫。
きょうだい猫と一緒に保護した場合、気を付けたいことがあります。
それは「吸い癖」です。
母猫不在で保護した場合、赤ちゃん猫の多くに吸い癖が見られます。
うっかり吸い癖を見過ごしてしまうと、最悪の場合は手術が必要なケースもありますので、詳しく解説しますね。
「吸い癖」とは?
【症状は?】母猫のおっぱいの代わりに、きょうだい猫や自分の体を吸ってしまう
【よく吸われる部位は?】陰部や肛門など突起状になっている部分
【どんな子猫がなりやすい?】生後0~3週齢頃の授乳期に母猫と離れた子猫
【いつおさまるの?】生後1ヶ月を過ぎ、離乳食を食べ始める頃には自然とおさまることが多いです(ただし個体差あり)
「吸い癖」の症例
吸い癖で最も多い部位は、陰部(おしっこが出る部分)です。
特にきょうだい猫と一緒に育てている時に、きょうだい猫から吸われるケースが多いです。
吸われ続けると、おしっこの出る穴が炎症→癒着を起こし、穴が塞がってしまうことがあり、なかなか厄介です。
特にオス猫は、おしっこの穴が塞がりやすいです。
この穴が塞がってしまうと、排尿することができず、手術が必要になります。
他に吸い癖が多い部位は、腕や脚です。
吸い続けると、このような吸いダコになります。
陰部以外の吸い癖はそれほど深刻ではありませんが、皮膚炎を起こしたり、膿んでしまうようでしたら動物病院を受診しましょう。
「吸い癖」の対策
吸い癖は「ミルクを飲もうとする本能」なので、やめさせることが非常に難しいです。
きょうだい猫と一緒に育てている場合に吸い癖を見つけたら、必ず隔離飼育しましょう。
飼育箱を1匹ずつ分けるか、写真のように飼育箱の中に仕切りを入れます。
隔離して最初のうちは、寂しくてピーピー鳴くことがあります。
しかしここで「かわいそう」と隔離をやめてしまうと、吸われた子猫の体に大きなダメージが残ってしまいます。
子猫の体を守るため、心を鬼にして隔離を続けてください。
「吸い癖」で手術をしたケース
このオス猫君(生後2ヶ月)は、きょうだい猫に陰部を吸われ、おしっこの穴が半分癒着していました。
一応排尿はできますが、スムーズには出ず、おしっこがポタポタと落ちる感じの排尿でした。
自分でも気にして陰部を舐めていたので、エリザベスカラーを着用。
本来ならすぐに切開手術を受けたいところですが、幼齢すぎて麻酔リスクが大きいため、生後4ヶ月まで手術を待たなくてはいけませんでした。
それまで穴の癒着が進行しないよう、動物病院で週1回、カテーテルで穴を広げる処置を受けました。
2ヶ月ほど通院し、無事に穴の切開手術(と去勢手術)を受けることができました。
手術前後の患部はこんな感じです。
術後はたまにポタポタと残尿が落ちることはありましたが、手術前と比べたら9割ほど改善しました。
しかし完全に治ったわけではなく、「成長した時に再び排尿障害が起こるリスクはある」と獣医師から言われました。
その言葉通り、4年後に再び通院が必要になりました。
このように吸い癖は、子猫へ大きなダメージとなる場合がありますので、早めの発見と対策で子猫を守ってあげてください。