こんにちは、ネコリテです。
猫との暮らし方や悩み事など、実体験をもとにブログを書いています。
今回は私が経験した子猫の高アンモニア血症についてまとめました。
高アンモニア血症とは?
私が10年近くミルクボランティア(赤ちゃん猫を育てるボランティア)をしている中で、2回ほど、子猫が生死の境をさまよう状況に直面しました。
それが高アンモニア血症です。
「乳飲み子猫」や「離乳猫」の生死にかかわる症状といえば、低血糖や誤嚥性肺炎などがよく見られます。

高アンモニア血症はそれらより発生頻度こそ低いものの、
- 予防策がない
- 前触れなく突然発症する
- 発症後すぐに対応しなければ命に関わる
といった理由から、非常に厄介な症状です。
尚、高アンモニア血症は病名ではなく「血液中にアンモニアが蓄積する状態」を指します。
【動画付き】高アンモニア血症の体験談
症状
発症した子猫は生後1ヶ月ほどで、食餌をミルクから離乳食へ移行している時期でした。
朝はいつも通り元気で食欲もありましたが、昼に離乳食をあげようとした時には、ぐったりとしていました。
★この動画は診察用に撮影したものです
一見すると低血糖のようにも見えますが、栄養はしっかり摂れているのでその可能性は低く、触ると機敏な動きをする点が気になりました。
病院では最初に血糖値を調べましたが、低血糖ではありませんでした。
次に血液検査をすると、アンモニアの数値が異常に高くなっていることが判明しました。
通常アンモニアの数値は78以下ですが、この時はなんと400以上にまで上昇!
つまり大量のアンモニアを処理しきれず、体内に毒素が回ってしまっている状態です。
異常な動きも、その毒素が脳に影響を与え、神経症状として現れたものでした。
治療と経過
病院で診ていただいた時点では危篤状態で、助からない可能性も示唆されました。
子猫は入院し、アンモニアの数値を下げる処置を受けました。
すると驚くことに、翌日には自力で離乳食を食べられるまで回復!
後遺症もなく、3日後には元気に退院することができました。
この一件から数年後に、再び同じような症状の子猫を経験しました。
- 生後1ヶ月くらい(ミルク→離乳食への移行時期)
- 夕方までは元気で食欲もあったが、夜9時頃に「ぐったり+触ると機敏な動き」
- 夜間救急を受診。血液検査で高アンモニア血症が判明(数値900以上)
- 受診時は危篤状態で、助からない可能性が高いと言われる
- 翌朝には自力でごはんを食べるまで回復し、入院期間は1日
発症した時期や症状など、1匹目と共通するものが多かったです。
ただ1匹目よりもアンモニアの数値はかなり悪かったのですが、回復スピードは同じくらいでした。
2匹とも、アンモニアを薄める処置を受けた数時間後には危篤状態を脱し、翌日には自力でごはんを食べられるまで回復。
発症から処置までの時間が、生死を分けるカギになると感じました。

この2匹のケースは、3-4時間以内の処置で助かったよ
発症した2匹の子猫の共通点
発症した子猫たちは、以下のような共通点がありました。
- 生後1ヶ月頃のミルクから離乳食へ移行している時期に発症
- 急に元気がなくなり、数時間後には危篤状態
- 神経症状あり(触ると瞬発的な動きをする)
- 血中のアンモニアが異常に高い。数値300以上は脳にダメージを受けるヤバい濃度だが、それをはるかに上回る(通常78以下のところ1匹目400、2匹目900)
- 血液検査でBUNは低く(=肝臓が正常に動いていない)、血糖値は高い
- 点滴等のアンモニアを薄める処置で、半日後には回復する
- 発症前日に嘔吐
- 発症の1~2週間以内に下痢をしている
項目 | アンモニア | BUN(ビーユーエヌ) 尿素窒素 | GLU(グルコース) 血糖値 |
基準値 | 23-78 | 17.6-32.8 | 71-148 |
1匹目の子猫 | 当日 418↑ 翌日 64 | 12.7↓ | 292↑ |
2匹目の子猫 | 当日 969↑ 翌日 47 | 10.5↓ | 371↑ |
疑われる疾患例 | 【高い場合】 肝機能障害 門脈シャントなど | 【低い場合】 肝機能障害 飢餓など | 【高い場合】 糖尿病 興奮状態など |
子猫の高アンモニア血症の予兆は、もしかしたら嘔吐や下痢なのかもしれません。
ただミルクから離乳食への移行期は、健康な子猫でも嘔吐や下痢が起こりやすい時期でもあります。
主食が「液体」から「固形物」へ変わり、胃腸が未成熟な子猫は固形物をうまく消化できないことがあるからです。
嘔吐や下痢の原因が消化不良なのか、高アンモニア血症の予兆なのかを見分けることは難しいですが、「疑い」を持つことはとても大切です。
急に子猫がぐったりすると動揺してしまいますが、
「高アンモニア血症を起こしているかもしれない」
と考えることで、落ち着いて行動ができるようになります。
低血糖の対応と同様に、子猫が急にぐったりしたら様子を見ず、すぐに病院へ連れて行くことが大切です。
夜に発症した場合、翌朝まで待つのは危険なので、事前に夜間救急の病院を2軒以上調べておくことをおすすめします。
私も2匹目の時に夜間救急を受診したのですが、いざ連絡しようとした病院には電話が繋がらず、慌てて別の病院を探すことになりました。
また、夜間救急はタイミングによっては非常に混み合い、電話が繋がりにくかったり、診察までに時間がかかることもあるので注意が必要です。

1ヶ月未満の子猫の採血は難しいから、病院によっては血液検査をしてもらえないケースがあるよ。その場合は高アンモニア血症の疑いを説明して、点滴などの処置をしてもらえないか獣医さんへ相談してみてね
担当獣医による原因の推測
▼1匹目/かかりつけのA動物病院
肝臓や胃腸が未成熟のため、消化の過程で発生するアンモニアがうまく分解できなかったり、過剰に発生したことが原因と思われる。以前子犬で同じ症状を診たので、おそらく今回もそうだと思う。
最初は門脈シャントの疑いもあったが、TBA(総胆汁酸)を計測したら正常だったのでその心配はなさそう。
▼2匹目/夜間救急のB動物病院
原因はわからない。門脈シャントの可能性も否定できない。
消化器官が原因で高アンモニア血症を起こす話は聞いたことがない。
※こちらの病院は子猫の採血に消極的だったので、1匹目の事例を伝えてなんとか採血してもらいました
一般的に高アンモニア血症を引き起こす原因は、門脈シャント(=肝臓に余分な血管ができる病気)や肝不全など肝機能障害が多いですが、子犬・子猫の場合は消化器系の問題が関与している可能性もありそうです。
今回は2匹とも門脈シャントではなかったので、離乳期というタイミング的に、消化器系の原因だったように感じます。
【まとめ】ミルクボランティアとして今後の教訓

- 離乳初期は消化不良による高アンモニア血症に注意
- 急にぐったり&神経症状が出たら、すぐに病院へ連れて行く
- 嘔吐が2回以上あったら、急な体調悪化を想定しておく
- 子猫に不慣れな先生だったら「血液検査でアンモニアの測定」をお願いし、もし採血に失敗したらアンモニアを薄めるための点滴などを相談する
- 低血糖でも急にぐったりするが、日頃ミルクや離乳食を摂れていれば可能性は低い
- 夜間救急の動物病院は、念のため2軒以上候補を決めておく