生後3週間未満の赤ちゃん猫は、主食が猫用ミルクになります。
まだ胃腸が未発達で固形物は食べられません。
そしてお皿からミルクを飲むこともできません。
人間の赤ちゃんと同じ状態です。
哺乳瓶やシリンジで授乳する必要がありますので、初心者さんにもわかりやすく解説しますね。
準備するもの
赤ちゃん猫の授乳に必要なものは、
- 粉ミルク
- 哺乳瓶
- 湯温計(お湯の温度を測ります)
- ボトルブラシ(哺乳瓶を洗います)
ミルクは必ず幼猫用/総合栄養食と記載されているものを選んでください。
この記載がないものは、成猫用ミルクやおやつ用ミルクなので、子猫への栄養分が不足しています。
人間用の牛乳は猫が飲むと下痢をしやすいため、絶対に子猫には飲ませないでください。※猫が消化しにくい成分が含まれています
おすすめは写真の森永ワンラック・キャットミルクという粉ミルクで、お湯に溶けやすいので初心者さんにも使いやすいです。
哺乳瓶も子猫用を選んでください。
ミオや森永というメーカーの哺乳瓶がおすすめです。(外国製は使いこなすのが難しい)
哺乳瓶の乳首先端は、こんな感じで小さく円形にカットしておくと、授乳させやすいです。
穴が大きすぎると誤嚥[ごえん]させてしまうことがあるので、注意してください。
猫用ミルクの作り方
森永ワンラック・キャットミルクでの作り方を説明します。(他メーカーを使われる場合は、分量表記を確認してください)
【例】 生後2週間くらい/1匹分/ミルク20ml
- お湯を沸騰させる
- お湯を50℃くらいまで冷ます(湯温計で計る)
- 哺乳瓶に粉ミルク4g(備え付けスプーン2杯分)を入れる
- 哺乳瓶に2のお湯を20ml入れ、蓋を閉じてよく振る
- 調乳したミルクが38℃くらいになるのを待つ(湯温計で計る)
ポイントはお湯の温度をしっかり計ることです。
熱すぎるとミルクの栄養が壊れてしまうので、必ず50℃以下で調乳します。
子猫が飲みやすい温度は35~40℃で、高温すぎると口の中をやけどしたり、低温すぎると胃腸が冷えて下痢や体調不良の原因となりますので、温度管理はとても重要です。
あと哺乳瓶へ入れる順番は、①お湯→②粉ミルク がおすすめです。
先に粉ミルクを入れても大丈夫ですが、そうすると計量カップでお湯を量る手間が増えますので、哺乳瓶の目盛りに合わせて最初にお湯を入れた方が早いです。
授乳のポイント
授乳させる際、子猫は写真↑のように必ずうつ伏せで飲ませてください。
仰向けは、誤嚥[ごえん]させる危険があるため厳禁です!!
乳飲み子猫に多い誤嚥性肺炎とは?
本来ミルクを飲んだら食道へ流れますが、飲み込む量や角度が不適切な場合、誤ってミルクが気管支へ流れ込み、肺炎を起こすことがあります。誤嚥をしたか外見で判断することは難しいですが、授乳中にむせたり、ミルクを吐き出した場合は誤嚥した可能性があります。咳をしたり、ゼーゼーと呼吸に異音が聞こえる場合はすでに肺炎を起こしている可能性がありますので、すぐに動物病院へ連れて行ってください。
ミルクの飲みっぷりには個体差があります。
すぐに飲んでくれる子、慣れるまで時間がかかる子など様々です。
保護主/飼い主さんも初めのうちは、授乳に慣れていないので、時間がかかってしまうかと思います。
ただし、あたふたしていると、あっという間にミルクが冷めてしまいます。
気付かずに冷めたミルクを与えると、子猫が体調を崩すことがありますので、時間がかかりそうな場合はマグカップにお湯を入れ、湯せんで温めて再チャレンジすると良いです。
もし授乳に1時間以上かかるようでしたら、ミルクに雑菌が繁殖し始めてしまうので、新しいミルクを作り直して与えてください。
飲ませるのが難しい時の対処法
まずは子猫の食欲の有無を確認してください。
●食欲はありそう→飲みたがっているが哺乳瓶を吸わない、(人の)指に吸い付いてくる
●食欲がなさそう→元気がない、指に吸い付かない
半日以上「食欲がなさそう」な状態が続いていれば、体調不良の可能性がありますので、動物病院へ連れて行ってください。
元気に動いて食欲もありそうでしたら、子猫が哺乳瓶に慣れていないか、保護主/飼い主さんがうまく授乳できていませんので、以下の対処法を試してみてください。
◆順調に飲める子猫【動画】
◆飲みたすぎて暴れる子猫【動画】
◆飲ませるのにコツがいる子猫【動画】
正常に飲めている時は、ミルクにポコポコと気泡が出てきて、子猫の耳がぴくぴく動きます。
どれを試してもうまくいかない場合は、もしかしたら食道や肺に問題があるのかもしれません。
丸一日ミルクを飲ませられないと、子猫の命に危険が及ぶ可能性がありますので、一人で悩まずに動物病院や動物愛護センターへ相談しましょう。
授乳と排泄はセットで行う
赤ちゃん猫は、自力でおしっこやうんちができません。
通常は母猫が排泄を促していますので、保護主/飼い主さんが母猫の代わりに、排泄補助を行います。
ティッシュで陰部をトントンと優しく刺激すると、おしっこが出てきますので、初心者の方も簡単にできます。
排泄補助は授乳の時に行い、流れはこんな感じです。
ミルクを作る→排尿①→体重測定(食前)→ミルクを飲ませる→排尿②→体重測定(食後)
ミルクを飲ませる前と後に、おしっこをさせます。
手順を覚えるのが難しい方は、「ミルクを飲ませる前に膀胱を空っぽにする。これをしないと、お腹が張ってミルクを飲まないことがある」とだけ覚えてください。
尚、主食がミルクのうちは、うんちは3日に1回程度出れば大丈夫です。
ミルクの栄養分はほとんど体内に吸収され、余分なカスだけがうんちとして出てくるので、この時期はあまりうんちが出なくても問題ありません。
10日以上出なかったり、ミルクを飲まない場合は「便秘でお腹が張って飲めない」ことがありますので、その場合は動物病院へ連れて行ってください。
主食が離乳食になれば、毎日うんちが出るようになります。
ミルクはどのくらい飲ませればいいの?
最初はミルク缶に記載されている量を目安に与えてください。
授乳の頻度は3~4時間おきで、日中しっかりミルクを飲めていれば深夜には与えなくても大丈夫です。
飲む量は個体差がありますので、目安としては体重が毎日5-20g増える哺乳量であれば、順調に育っていると言えます。
赤ちゃん猫の健康のバロメーターは「体重」です。
十分なミルクを飲んでいても体重が増えない(=栄養が身に付かない)場合は、健康上の問題があるかもしれません。
順調に育っているかどうか「体重」で判断しますので、授乳の際は必ず体重測定をしましょう。
▼体重記録の書き方▼
★体重記録のテンプレートは こちら [無料]
2日連続で体重が増えない、減っている場合はミルクが足りないか、体調を崩している可能性がありますので、動物病院へ連れて行ってください。
体重測定の方法は、こちらの記事を参考にどうぞ。